MTGのドラフトを気軽に楽しめるボードゲーム『スシゴー』における、カード1枚当たりの価値を計算してみたい

 追記:しょうゆをやや好印象に再評価。

スシゴーの詳細なルールはこちら(英語) https://www.gamewright.com/gamewright/pdfs/Rules/SushiGoTM-RULES.pdf
スシゴーの解説はこちらの記事がわかりやすい https://www.bodoge-intl.com/list/insapo/sushigo/

まず計算が簡単なのはニギリカード、これらは単体で点数を持つので他のカードの単価の指標となる(ワサビは後述)。

・たまご  1枚あたり 1点
・サーモン 1枚あたり 2点
・イカ   1枚あたり 3点

次にぎょうざ。ぎょうざは1枚では1点だが2枚で3点、3枚で6点と1枚当たりの単価が上がってゆく。揃えた枚数と得点をカード1枚あたりに換算すると次のようになる。

・ぎょうざ 1枚  1点 → 1枚あたり   1点
・ぎょうざ 2枚  3点 → 1枚あたり 1.5点
・ぎょうざ 3枚  6点 → 1枚あたり   2点
・ぎょうざ 4枚 10点 → 1枚あたり 2.5点
・ぎょうざ 5枚 15点 → 1枚あたり   3点

なお6枚以降は5枚と同じ得点倍率となる。つまりぎょうざは3枚でサーモン3枚と同義、5枚でイカ5枚と同義である。

次は組み合わせカードのてんぷらさしみ

・てんぷら 2枚  5点 → 1枚あたり 2.5点
・さしみ  3枚 10点 → 1枚あたり 3.3点

ただしこれらは規定数まで集めないと効果がないので単価は額面より落ちる。しょうゆの存在を考慮しても単体での価値は0~1と見積もってもよいかもしれない。

わさびは特定のカードの組み合わせ2枚であるので、タイミングを限定されたてんぷらとみなすことができる。組み合わせの単価は次のようになる。

・わさび ×  たまご 3点 → 1枚あたり 1.5点
・わさび × サーモン 6点 → 1枚あたり   3点
・わさび ×   イカ 9点 → 1枚あたり 4.5点

てんぷら1枚を2.5点と計上してもなお、サーモンとイカは強力である。ターンを送るとわさびの単価は0となるので、よっぽどなことがない限りはたまごであっても組み合わせておいた方がよいと思われる。
ただしすでに書いたようにタイミングが限られること(つまりわさびを流したことを記憶されていること)、タイミングを逃した際のわさびの単価が0であることを考えると、額面通りの点数を得られることはまれだろう。

巻き寿司は自身の獲得数と他人の獲得数、つまり相場によって1枚あたりの単価が変動する。得点の入り方も特殊、ラウンドにおける巻き寿司の総数も不定なので何枚集めれば何点という計算は難しい。
英語版説明書によれば1巻き寿司は6枚、2巻き寿司は12枚、3巻き寿司は8枚である。つまりゲームにおける総巻き寿司は54トークンであり、1ラウンドの平均巻き寿司は18トークンとなる。このうち最多でも過半数を超える10トークンを獲得すれば1位の6点が手に入る。10トークンを手に入れるには最低でも4枚の巻き寿司カードが必要なので、

・巻き寿司 4枚 6点 → 1枚あたり 1.5点

と単価は存外に低い。
ただし巻き寿司を狙うものが自身だけであることはまずないので10巻き寿司まで伸ばす意義は薄い。7~9トークンで妥協すれば(つまり3巻き寿司カードで収めれば)1枚当たりの単価は2点にまで上がる。1位タイや2位、2位タイで少なからず点数が入ることも考えると巻き寿司1枚あたりの単価は1.5~2.5となるだろうか。
(注)この計算はカード枚数でなく巻き寿司トークンによる計算なので、1トークンの巻き寿司カードの単価はさらに落ちる。およそ積極的にピックすべきではないだろう。

プリンもまた相場で単価が変動するが、プリンの計上はゲームの最後に行われるので巻き寿司よりも楽である。
ゲームで使われるプリンの総枚数は10枚、ゲームから多く省かれた場合でも8枚が精々だと思われる(いまさらですがこの記事は5人プレイを想定しています)。
つまり3枚取得すれば最低取得数を回避できるので―6点のペナルティはなくなる。おそらく他のプレイヤーもペナルティは避けたいので1枚はピックすることも考えると浮きは1~3枚、よっぽどなことがない限りは1位で6点を得るか1位タイで3点は得られる。つまりプリンを多く持っていた場合は

・プリン1位   3枚 6点 → 1枚あたり 2点
・プリン1位タイ 3枚 3点 → 1枚あたり 1点
(プリン2枚で1位タイに絡むとき、1位タイは3~4人になるはずなのでその場合1枚あたりの単価は1~0.5点)

となる。
またプリン最低所持のペナルティのことを考慮すると、0枚は避けるべきである。0枚でー6であるとして1~2枚確保すればそれを免れるのだとすれば、別の計算では

・プリン 0枚 ー6点 
・プリン 1枚  0点(相対的に6点)
・プリン 2枚  0点(相対的に6点)

となる。つまりノープリンはイカ2枚分あるいはわさびサーモンあるいはぎょうざ3枚相当の損失であり、イコール高単価のカード2~3枚分を捨てることを意味する。逆に1~2枚取得して最低枚数を回避した場合は1枚あたりの単価は3~6点となる。
ドラフトの状況にもよるが、プリンに関しては A.最低は回避せよ B.最多はそこまで単価が高いわけではない の2点が言えそうである。

はしについて。はしそのものは単価を持たないが、のちにカード2枚と交換できるのではし使用時に得られる得点÷2がはしの単価とみなせる。また選択肢が多いほどはしは効力を発揮するのでできるだけドラフトの早い段階でピックし、早い段階で消費したい(裏を返せばどうしてもしょうゆで勝ちたい場合を除けばはしの単価は0に近い)。
はしで狙い得るのはさしみ2枚、てんぷら2枚、わさびイカ、わさびサーモン、イカイカ、ぎょうざで固めている際のぎょうざ2枚、巻き寿司2枚、などであると考えられるが、それらの1枚当たりの単価は1.5~3.5であると見積もれる。ドラフトの運も絡むことを考えるとはしの単価はさらに下がる。

Board Game Arenaではしょうゆの拡張ルールが存在する。しょうゆは各カードの種類(つまりわさびを含むにぎりカード、ぎょうざカード、てんぷらカード、さしみカード、巻き寿司カード、プリンカード、はしカード、しょうゆ自身の8種)が最多種保持の場合6点を得られる。
五人プレイにおける初期手札=ピック可能数は7枚であるのでしょうゆを含む最大7種を集めれば6点が得られる。これはつまり他のカードに約1点の価値が付与されるということである(より詳細に述べると7枚の手札全てが0.75の価値を得るということであり、集めきれなかったわさび・てんぷら・さしみ・巻き寿司が0.75の価値を得ることになる)。
スタンダードに単価の高いものからピックしてゆくドラフトを全員が行うと仮定すると3~4種集める程度では最多種を勝ち取るのは難しいと思われる。得点を得るには5種は確保しておくべきか。
狙うとすればわさびコンボやてんぷらと複合の組み合わせ、あるいはさしみを狙う際の保険としての役割が効率的だろう。種類を増やすという面からみると同じラウンドでプリンも回収しておきたい(当然だが、ぎょうざや巻き寿司とは食い合わせが悪い。現実には好相性なのにね)。
額面上での単価は6点ではあるが、機能させつつ得点を伸ばすドラフトは困難を極めるので単価は0~2と控えめに計上しておくのが無難だろうか。

以上が私見を交えた各カードの単価としての価値である。単価を活かした戦略面についての考察はより習熟を積んでから述べることとしたい。